11月1日満を持して発刊
「歯科医師にファイナンシャルプランナー」

ムリ、ムダ、ムラの無い歯科医院経営とライフプランニング
デンタルダイヤモンド社
定価3,780円(3,600円+税)


前作「医師・歯科医師の正しい財産の作り方」から3年。業界に新しいマネージメントの形を創作した内容でマネージメント業界をリードする本となりました。
今回は歯科医師とFP(ファイナンシャルプランナー)に特化した内容でより身近なテーマでまとめあげました。
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2006年01月25日

残業代のつけ方

Q、残業代のつけ方ですが、当医院は週40時間となっております。18時までです。それを超過すると15分単位でつけていますが医療機関は週44時間が法定労働時間と聞いています。この差の4時間の扱いと残業手当の金額の算出について教えていただきたいのですが?

A 労働基準法に定める法定労働時間の原則は、1日8時間、1週40
時間ですが、特例として、常時10人未満の労働者を使用する、商業、
映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業(特例措置対象事業場といい
ます)に該当する場合は、1日8時間、1週44時間が法定労働時間の
総枠となります。

ですので、歯科医院の場合は、常時10人いるか、いないかで扱いが変わります。

 

   (1)常時10人以上いる医院の場合

     1週あたり40時間が法定労働時間です。

     1日8時間または1週40時間を超えて時間外労働をさせた

    場合は、その時間について通常の賃金に25%以上の割増

    分を乗せた賃金、つまり125%以上の賃金を支払う必要が

    あります。

   (2)常時10人未満の医院の場合

     1週あたり44時間が法定労働時間です。

     1日8時間または1週44時間を超えて時間外労働をさせた

   場合は、その時間について通常の賃金の125%以上の賃金

   を支払う必要があります。ここで、常時の10人未満の医院が、

   所定労働時間を1日8時間、週40時間と決めている場合は、

   残業については次のように扱うことになります。

     ① 1日8時間を超えた場合は、その時間について通常の

      賃金の125%以上の賃金を支払う必要があります。

     ② 1週40時間を超えて44時間までの4時間分について

      は、割増分をつけない通常の賃金、つまり100%の賃金

      を払えば足ります。(ただし、就業規則などで割増賃金を

      払うと定めていれば割増分も支払う義務があります)

     ③ 1週44時間を超えた場合は、その時間について通常の

      賃金の125%以上の賃金を支払う必要があります。

      このように、1日8時間、週40時間と決めている場合、

    週44時間以内の労働であっても、1日8時間を超えれば、

    当然に割増賃金の支払義務が生じてしまうことなります。

     なにか矛盾しているように見えますが、1日の労働時間を

    弾力的に設定することで40時間以上44時間未満の4時間

    について、割増分の支払を回避することは可能です。

     1日の労働時間をどうしても8時間以上確保しなければな

    らないときは、「1か月単位の変形労働時間制」が効果的で

    す。      

      1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内の一定

     の期間を平均し、1週間の労働時間が法定労働時間以下

     の範囲内において、特定の日や週について1日及び1週間

     の法定労働時間を超えて労働させることができる制度のこ

     とをいいます。(この制度を導入するためには、就業規則に

     定めるか、労使協定の締結が必要になります。)

     

     例えば、1日の所定労働時間を8時間30分に設定すれば、

    週5日勤務とすると、1週の労働時間は42時間30分で、法

    定労働時間内におさまります。このようにすることにより、8時

    間を超えても最初の30分間については割増賃金(残業手当)

    を払う必要はなくなります。ただ、現状の就業規則で1日8時

    間、週40時間と決めている場合は、労働条件の「不利益変

    更」とならないよう、基本給の引き上げなどの代替措置をとる

    とともに、従業者に対しても十分な話し合いや説明によって

    合意を取り付けておくことが必要となります。

     
   

    次に、割増賃金(残業手当)の算出方法ですが、割増賃金の

   計算の基礎となる「通常の賃金」とは、「通常の労働時間また

   は労働日の賃金」とされています。つまり、所定労働時間に対

   して支払われる賃金のことを言います。

    所定労働時間に対して支払われる賃金の中には、通勤手当

   や家族手当など、労働とは直接的な関係が薄く、どちらかといえ

   ば個人的な事情にもとづいて支払われる賃金もあります。これら

   をすべて割増賃金の基礎にすると、純粋に労働の対償としてと

   らえるべき割増賃金の額が個人的な事情に影響されることにな

   ります。こうしたことから、以下の賃金は割増賃金の算定から除

   外することができます。

      ① 家族手当

      ② 通勤手当

      ③ 別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われ

       た賃金および1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

    「住宅手当」については、住宅に要する費用に応じて算定される

   手当について は除外できますが、一律に定額で支給するものや、

   賃貸か持ち家かの違いだけで支給額が決まるものは、ここでいう

   「住宅手当」には該当しませんので注意が必要です。


 

  割増賃金の額は、計算の基礎となる1時間当たりの賃金額に、割

  増率(最低で125%)と時間外労働の時間数を乗じて求めます。

  「1時間当たりの賃金額」とは、時間給制の場合は時間給そのもの

  の額ですが、月給制の場合は、計算の基礎となる賃金を計算期間

  となる1か月の所定労働時間数で割った金額となります。月によっ

  て所定労働時間数が異なるときは、1年間における月平均所定

  労働時間数で割った金額としても差し支えありません。

割増賃金の計算例

・計算の基礎となる賃金 月給20万円

・月平均所定労働時間数 160時間  

・残業時間数      10時間  の場合

1時間あたりの賃金額 = 200,000円 ÷ 160 時間 = 1,250円

割増賃金の支給額 = 1,250円 × 1.25 × 10時間 = 15,625円

投稿者 test1 : 2006年01月25日 17:32

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